事故処理ノート

事故事例や判例につき、組合員の皆さまのご参考になる特徴的なケースをご紹介しております。

高速道路上で停止した3台の車両に追突した事故で共同不法行為を認定した事例

事故の概要と経過

本件事故は、午前6時頃、片側2車線の高速道路を組合員車3両(A車、B車、C車)が走行していたところ、A車の前方を走っていたワゴン車 (D車)が、蛇行したり速度を速くしたリ遅くしたリA車の前に割リ込むなど異常な動きをしながら停止したので、A車は注意しようと停車し、A車の後方を走っていたB車およびC車も続けて停止したところ、その後方から走行してきた大型貨物車(E車)がC車に追突し、E車の運転者(34オ男性)が死亡しました。被害者遺族は、自賠責保険受領額3,000万円余を除き組合員に対し 6,229万円余の損害賠償請求訴訟を提起しました。

訴訟の争点

本件訴訟では事故の態様および過失割合が主な争点となリました。実況見分調書等によれば、前方を蛇行するワゴン車(D車)に対して注意しようとしたA車が、 D車の前に割り込みD車を路屑に停車させ、A車もその前に停車し、後芭は走行車線にはみ出していた。後続のB車、C車は、先行のA車が突然停止したため、事故でも起こしたのかと思い、2台とも走行車緞上で停車した。その後、後方から走行してきたE車が追突したものとされています。
裁判の経過の中では、A、B、Cの3者の共同不法行為が成立するかどうかについて意見が交わされました。

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裁判所の判断

事故状況によれば、C車らは、全体としてワゴン車を止めようとしたと考えられ、正当な理由がなく、その理由の相当性に疑商があることから、本線車線を塞いだ点で重大な過失に近い過失があリ、一方のE車には、最高速度50km制限のところを90km前後の速度で走行しておリ重大な過失に近い過失があると判断し、高速道路本線車道上に駐停車中の自動車に対する追突事故の基本割合(追突車:被追突車=60: 40)を適用し、視界不良状況を考慮して、A車、B車、C車らとE車の過失割合を50%対50%と認定しました。また、 A車、B車、C車の3台は、本件事故峙にワコン車を取リ囲むように停車していた状況などから、共同不法行為が成立すると認めました。
上記地裁の和解案を原告被告双方が受諾し、被害者の過失を相殺した総損害額4,414万円余に遅延損害金84万円余を加えた4,499万円余(自賠貴保険金支払範囲内)が当方の支払額となりました。