事故処理ノート
事故事例や判例につき、組合員の皆さまの
ご参考になる特徴的なケースをご紹介しております。
交差点右折のため切り返しをしている際に直新車が衝突した事例
- 事故の概要
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組合員車が1月の午前6時30分頃交通整理の行われていない交差点を右折する際、一度で回り切れず複数回切り返しているところへ右方(優先道路)から直進してきた相手方乗用車と側面衝突し、相手方運転者が負傷した事故でした。
- 事故の争点
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組合員側は、数回切り返していたこと及び前照灯も車幅灯も点灯させていたことより、明らかに相手方の前方不注視が原因の事故であるとし、通常9対1(判例基準)の過失割合ではあるが無過失を主張しました。これに対し相手方は、前方不注視(脇見運転)は認めたものの、過失割合は組合員の責任が大きいと主張しました。
交渉は双方相入れず難航し、結局相手方が弁護士委任のうえ訴訟提起してきました。訴状の内容は、本件は組合員車が優先道路へ右折する際不用意に出てきたことが原因で発生した事故であり、その責任は重大で組合員車の過失責任が100%であるとの訴えでした。
- 裁判における当方の主張
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当方弁護士はドライブレコーダーの映像を分析し、後日、事故時と同程度の明るさに合わせて事故当時の再現状況を撮影しました。それを基に、優先道路側は100m以上の直線が続き見通しはよく、100m以上手前からでも車幅灯が認識可能であることを確認し、裁判所に証拠映像として提出しました。
- 裁判所の判断
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裁判長は、①現場は見通しの良い直線道路②ドライブレコーダーの映像(当方提出証拠)③制限動画(当方提出証拠)等より当方の主張を認め、「右折動作を開始した以上は切り返し動作を可及的速やかに右折を完了させる以外に本件事故を回避する方法がなかったもので、組合員に特段の過失を認めることができず、本件事故は専ら相手方の過失により起こったものと評価せざるを得ない。したがって、相手方の請求を棄却する。」との判決が下されました。