事故処理ノート

事故事例や判例につき、組合員の皆さまのご参考になる特徴的なケースをご紹介しております。

車線変更した車の自動ブレーキが作動したため、後続車が追突した事例

事故の概要

本件事故は、高速道路上において、組合員車が片側2車線の追越車線を走行中、左前方の走行車線を大型トラックに続いて走行していた相手方乗用車が前方のトラックを追い越そうとウインカーを出し右へ車線変更を開始したところ、車線変更の途中で、追越車線と走行車線を跨ぐ様に斜めになって急停止したため、組合員車が慌てて急ブレーキを踏んだものの間に合わずに追突したものです。

本件の問題点と解決までの経緯

本件の争点は過失割合です。
相手方乗用車の急停車の原因は、車線変更するために加速した際に、前方を走行する大型トラックに接近し過ぎたことから、自動ブレーキのセンサーが働き、車線変更中にも関わらず、急ブレーキが作動してしまったことです。

自動ブレーキの装着されていない車であれば、そのまま車線変更が完了し、何事も無く走行を続けて、こうした事故にはならなかったともの考えられます。通常の進路変更時の事故であれば、判例タイムズによれば基本の過失割合は進路変更車が80%、後続車が20%となります。

当方は、相手方の運転者でさえ、まさか進路変更時に自動ブレーキで停車するとは思ってもいなかったのだから、まして当方が相手方乗用車の急停止を全く予見できるはずもなく、本件事故は相手方の重過失によるものではないかとして、当方の無過失を主張しました。

その後、相手方と交渉を重ね、組合員とも打合せを行った結果、早期解決を望む組合員の意向を踏まえ、基本の過失割合から10%を修正し、相手方の過失割合を90%として示談しました。その結果、免責金の範囲内の賠償額で解決することができました。

事故処理ノート画像

まとめ

自動運転の技術は日進月歩で進化しています。被害軽減ブレーキなどの運転支援機能を備えた「レベル1」は、現在すでに新車の約6割に搭載されています。今回の相手方乗用車も「レベル1」といえます。さらに進んで、システムがすべての運転タスク(作業)を限定領域で実行する、すなわちハンドルもブレーキもアクセルも必要がない段階の「レベル4」は、2025年をめどに高速道路での完全自動運を目指すとしています。自動運転により、交通事故は削減されると言われています。

しかし、今回の事故は自動運転システムがなければ発生しえなかった事故だったとも言えます。専門家からは、ある事故を防止するために働くシステムが別の事故を引き起こす「ジレンマ」を生じさせるリスクが指摘されています。今後、自動車の自動運転化が進めば、現状では想像もできないような動きをする事があるかもしれません。

あおり運転も怖いですが、十分な車間距離を取り、法定速度内の安全な速度で走行する事が、一層大事になってくるのではないでしょうか。