事故処理ノート

事故事例や判例につき、組合員の皆さまのご参考になる特徴的なケースをご紹介しております。

高速道路上で、先行の2台がけんかしているところに追突した事例

事故の概要

本件事故は、午前6時頃、組合員車が高速道路上を走行中に高速道路上で停止していた2台に玉突き追突し、この事故で1名死亡したものです。何故高速道路上に2台の車両A、Bが停止していたのか?その経過は、A車が先行のB車の走行状況に立腹し、A車が強引にB車の前方へ割り込み停止させた後に、運転者のA1及び同乗のA2がB車へ乗り込み、B車の運転者に数分間に渡り暴行を加えていたところへ、組合員車が衝突したというもので、その際にA車のもう一人の同乗者A3がこの衝突でA車とB車の間に挟まれ死亡しました。A3はBへの暴行へ加わっておらず、B車とA車の間に立ち、Aの暴行を目で止める様に訴えていたところでした。(A1の供述調書より)なお、A1は無免許運転で前歴もあり、刑事裁判により交通刑務所へ収監されました。

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本件の問題点と解決までの経過

A3の遺族(両親)は、組合員車の自賠責保険に被害者請求を行い、3,000万円を受領した後、組合員、A車、B車に対して4,000万円余の損害賠償請求訴訟を提起しました。この請求については裁判上の基準で特に高額でもなかったことから、組合員、A車、B車の3者が連帯して3600万円を支払えと言う内容の判決が示されました。ここで起きた問題は、3者間の過失割合、Aの支払い能力の可否でした。

判決は、3者が連帯して3600万円を支払えとの内容ですが、誰がいくら払うのかは明記されませんでした。また、第一原因者のA車の運転者A1と被害者のA3は雇用関係にあり、仕事へ行く途中の事故であったため、A車の任意自動車保険では無責となるため支払されません、さらに、A1は資産がなく、現在も服役中です。したがって、A1による支払は不可能なため、組合員側とB車側の支払いが求められます。
一方、B車側は、今回の事故はB車には責任が無いと主張し、高等裁判所に控訴しました。その結果、B社の責任は否定されることなく、一審の額より大幅減額されましたが、B者側に対して1,650万を支払えという判決が下されました。

そこで、一審の判決額と二審の差額である1,950万円を組合員とA車の連帯で支払をせざるをえませんので、組合車側でその残額1,950万円を支払しましたが、判決にもとづく自賠責保険からの支払いが可能となったので、当組合の共済金支払いはありませんでした。

このような暴力事件絡みの事故においても、責任割合が生じてくるという事例をご紹介しました。

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