事故処理ノート

事故事例や判例につき、組合員の皆さまのご参考になる特徴的なケースをご紹介しております。

高速道路の路肩に駐車し車外に出ていた人に接触した事故

事故の概要

本件事故は、高速道路において、路肩で停車していた相手方軽貨物車に組合員車が接触し、路外に出ていた相手方2名が死亡した事故でした。



本件の問題点

本件では、高速道路の路肩に車を止め、降車し白線上で積荷をなおす作業をしていた相手方の過失割合、および逸失利益が争点となりました。
相手方は、事故の要因は運転手の前方不注意にあると主張しました。
一方、当方はドライブレコーダーの映像を基に、高速道路で路外にでる行為の危険性を指摘し、相手方の過失を主張しました。

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交渉の経緯

当方は、顧問弁護士に相談のうえ、相手方の過失割合について10%程度で交渉しました。
相手方遺族は弁護士に委任し、約5,500万円の請求を求め、訴訟も辞さない姿勢でした。遺族の被害者感情が強く交渉は難航しましたが、粘り強く交渉を続けた結果、訴訟に至ることなく、最終的に当組合が提示した賠償金額約4,000万円で合意し、示談解決できました。

もう一人の相手方遺族も弁護士に委任しましたが、こちらは相手方請求額と共済の提示額に大きな差があったため、相手方は損害賠償額8,200万円を請求する訴訟を提起しました。
この被害者は事故の2年前に退職し自営業を立ち上げる準備途中であり、事故時は不労所得以外の収入がない状態でした。こうした場合、逸失利益計算の基礎となる年収について、実額でなく平均賃金を採用することがあります。相手方の主張は最も高額となる大学卒の平均賃金であり、実情にそぐわないとする当方の考えとの差が埋まりませんでした。

訴訟提起から約半年後、裁判所から和解勧告がありました。その内容は相手方の過失割合を10%、逸失利益計算の基礎となる年収は学歴計の平均賃金の60%を採用という、当方の主張に近い、賠償額5,300万円で解決することができました。

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