事故処理ノート

事故事例や判例につき、組合員の皆さまのご参考になる特徴的なケースをご紹介しております。

高速道路上で、車外に出て口論している相手に追突した事例

事故の概要

高速道路において深夜3時頃、A車がB車に接触した物損事故を契機に、BがA車を停止させようと高速道路上で追いつ追われつの走行をしました。その際、Bは同僚のCに連絡を取り、A車を停車させる協力を要請しました。そして、第三車線をC車、第2車線をB車が塞ぎ、第三車線上でA車を停車させ、車外に降りて、BとCが口論していたところに、組合員車が衝突したため、AとBが死亡、Cが負傷しました。

当方は、上記事故状況では組合員車だけでなく、ABCの三者にも相応の過失があり、特にBとCの過失は相当大きいものであると判断し、A、Bの遺族およびCに対して自賠責保険の被害者請求を行うように依頼したところ、Aの遺族および勤務先が損害賠償請求訴訟を組合員およびCに対して提起しました。

訴訟の経過

訴訟の争点は主に当事者間の過失割合でした。
原告側は、Aの無過失を主張しました。一方、組合員側は、①高速道路においては、車両が高速で走行しており、道路上に車両を駐停車させれば後続車が追突する危険性が極めて高いことから、やむを得ない事情がある場合を除き、駐停車することが禁止されていること(道路交通法75条の8)、②万が一、故障等により、高速道路上に駐停車するような場合には、後続車に対する警告の為、停止表示器を設置し、停止していることを表示しなければならない(道路交通法75条の11)ことから、本件の事故状況においてAは、路肩、最寄りのパーキングエリア等に移動して話し合いをすべきであったし、また、停止機材を設置したり、ハザードランプの点灯をさせるべきであった。したがって、Aがこれらを怠った過失が認められると主張しました。

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訴訟の結果

本件は裁判所から和解案が提示され、最終的に裁判上の和解にて解決しました。
その内容は、Aの過失として40%を認定し、Aの人身損害約8,800万円に対して、組合員側の支払責任額は8,800万円×60%=5,280万円とされました。さらに、Aの損害は、組合員とCの共同不法行為によるものであり、組合員の責任割合を20%と認定し、最終的な組合員の負担金額は、5,280万円×20%=1,056万円となりました。結果として、自賠責保険金額の範囲内で解決することができました。