事故処理ノート

事故事例や判例につき、組合員の皆さまのご参考になる特徴的なケースをご紹介しております。

開業医の協業損害と外国車の損害について争われた事例

事故の概要

本件事故は、首都高速道路都心環状線の片側2車線の道路において、第二車線より第一車線へ進路変更した組合員車と左後方から走行していた相手方車とが接触し、相手方車はスピンして二度衝突して経済全損になり、相手方運転者は頚椎捻挫・腰椎捻挫の負傷をしたものです。
相手方運転者は45歳の開業医(皮膚科)で、相手方車は外国車(H4年式ランチャ デルタHF インテグラーレ エヴォルツォーネⅡ 4WD イタリア製)でした。

本件の問題点と経過

相手方は代理人として弁護士に委任して提訴を提起し、高額な損害賠償額を請求しました。
まず、過失割合については、当方は組合員70%相手方30%を提示しましたが、相手方は並走状態のところを右後部に接触されスピンし再度・右側面に衝突されたので無過失を主張しました。

車両損害については、経済全損であり、時価額は新車価格の一割、代車費用については、代替車購入期間の14日間をそれぞれ提示したところ、相手方は、損害車を修理するため、部品取りだけの為に、同年式のランチャ デルタを200万円で購入し、部品取りし損害車両を修理したもので、かかった修理費用として400万円の請求がありました。あわせて、修理が完了するまでの代車費用として、日額3,980円の261日間分、約100万円の請求がありました。

人身損害については、開業医としての事業所得は確定申告書では3,500万円あり、事故で負傷した結果、診療能率(特に手術)が著しく低下し、予定していた手術は全てキャンセルするかリスケジュールとなり、他の病院へ紹介せざるをえない場合もあったとして、通院最終日まで211日間の休業損害として、2,110万円の2割である400万円の請求がありました。当方は、収入の減少が立証されていないこと、自分の医院の休診日に通院をしていることから、休業損害は発生していないと主張しました。

事故処理ノート画像
訴訟結果

裁判所の和解勧告は、過失割合は組合員8割相手方2割とし、車両損害については、中古車市場流通価格の150万円を時価額とし、修理費用については認めず、代車期間についても、実際の代替車購入期間11日間のみ4万円を認定しました。

人身損害について、休業損害は減収が立証されていないものの、和解を前提として診療日の通院3日間のみを認定しました。和解案は、当方の主張がほぼ認められ、相方が了解し和解できました。