事故処理ノート
事故事例や判例につき、組合員の皆さまの
ご参考になる特徴的なケースをご紹介しております。
電車高架に衝突し、列車運休により450万円の間接損害が発生した事案
- 事故の概要
-
本件事故は、組合員車が重機を積載した状態でJR西日本の高架の下を通り抜けた際、高架に重機のアーム部分を衝突させ、橋桁の鉄骨の一部が損傷し、その結果、電車の運転見合わせ、運休などにより、多大な二次被害を巻き起こしたものです。
- 本件の経緯
-
本件事故発生後、JR職員が高架への事故の影響を調査し、電車の通行が可能と確認されるまでの間、電車の運行を取り止め、保線作業などの措置が実施されました。
この高架は、新大阪駅から大阪駅間に位置しており、電車の通行数も相応の数となりますので、約40分電車の運行を見合わせた結果、92本が運休し、5万人以上に影響を与えました。
- 損害賠償の内容
-
本件では、高架自体の工事費用はもちろんのこと、事故発生による応急対応の労務費や、電車の運休による振替輸送や乗車券の払い戻しも事故との因果関係が強く、賠償の範囲と考えました。
具体的には、
工事費用:約530万円
労務費:約250万円
振替輸送:約110万円
払い戻し:約60万円
タクシー代行:約35万円
総額約985万円の賠償となりました。
まとめ
今回の事故内容では一般的に、工事費用を直接損害、それ以外を間接損害と考えます。間接損害とは事故との因果関係により間接的に発生した損害のことを言いますが、通常は認定出来ないことや、出来たとしてもわずかな金額の賠償となることが多いのですが、本件は間接損害が約450万円と高額になる珍しい案件となりました。
対物事故でも、本件やそれ以上の高額な賠償となり得る可能性も十分にありえますので、組合員の皆さまには、ゆとりを持った高額の共済金額のご契約を検討していただくことが、経営の安心につながる一つの方法ではないでしょうか。