事故処理ノート

事故事例や判例につき、組合員の皆さまのご参考になる特徴的なケースをご紹介しております。

道路に出たフォークリフトと原付自転車の衝突で9千5百万円の請求があった事例

事故の概要

本件事故は、午前11時頃、組合員のフォークリフト(ナンバープレート有)が片側2車線道路を横断しようとした際に、右方から直進してきた原付自転車がフォークリフトのツメに乗り上げて転倒し、相手方女性が負傷した事故でした。

本件の問題点

相手方の女性は頚髄損傷を受傷し、四肢麻痺の状態になりました。治療を続けたところ、四肢麻痺については回復することなく、後遺障害(1級)が残りました。相手方は事故の記憶がなく、本人との交渉は困難を極めました。
争点となった過失割合については、組合員側は、組合員車は左右の安全確認のために停車したところに衝突されている点などを踏まえ相手方にも過失10%があると主張しました。一方、相手方は、フォークリフトがツメを下げた状態では、走行中の原付自転車は十分にそれを確認できず、そこに乗り上げて転倒したものだから無過失であると主張しました。

事故処理ノート画像
示談交渉の経緯

本件は当初、相手方女性の長男が交渉窓口となり交渉を進めましたが、女性が四肢麻痺であること、今後の介護費用や1級の後遺障害が認定され損害賠償額が高額となることもあり、相手方は弁護士に委任しました。

相手方弁護士は、損害賠償額について、将来の介護費として2,300万円を含めて、総額約9,500万円の請求を求め、訴訟も辞さない姿勢でした。
過失割合につき、相手方女性の事故状況の記憶が全くないことから、交渉は難航しましたが、事故状況の調査を行い、検察庁より実況見分調書等を取得して、相手方弁護士と粘り強く交渉を続けた結果、相手側は過失10%を認めました。

この間、組合員及び運転手は、相手方にいくら過失があろうと四肢麻痺となった本人や今後介護を続けていかなければならない親族の悲しみは計り知れないと、お見舞いなどを重ねました。その甲斐もあり、相手方女性並びに親族に対し組合員の誠意が十分に伝わり、訴訟に至ることなく、最終的に当共済が提示した賠償金額7,900万円余で合意し、示談解決できました。

本件は、相手方が重傷であり過失が問われる事故であっても迅速かつ誠実に対応した組合員と共済が連携することにより、円満に示談解決できたものです。