事故処理ノート
事故事例や判例につき、組合員の皆さまの
ご参考になる特徴的なケースをご紹介しております。
同一方向走行中の原動機付自転車との接触で組合車の過失が否認された事例
- 事故と傷害の概要
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本件は、 南北方向の道路と東方向の道路が交差する丁字路交差点において北に向かって第2車線を走行し ていた組合員車と第1車線を走行し ていた会社員女性の運転する相手方 原動機付自転車が交差点に進入したところで接触し、 相手方が転倒、 右足礫過され、 踵骨骨折等の傷害を負い、7か月間の入適院後、Ⅱ級相当の後遺障害が認定されました。
- 本件の争点と判決の結果
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本件の主な争点は、 事故の責任原因でした。相手方は、 訴訟を提起し、 本件事故は、 組合員車が左車線に進路変更する際に進路左側の安全確認を怠った過失により起きたものであると主張しました。 当方は、 進路変更することなく相手方車両を追い抜きかけ た際、 相手方車が進路前方の渋滞車列を回避するために右に進路変更してきたため衝突したもので、 当方に過失はないと主張しました。
裁判では、 実況見分調書や目撃者証言等にもとづき審理され、 組合員運転者の進路変更をしていないとの供述には組合員者の予定経路や目撃証言から十分な合理性が認められ、一方の相手方供述には信用性が認められないとされました。 その結果、「原告(相手方)が本件交差点に進入する以前の時点で本件道路1(交差点手前第1車線)の左側を走行していたこと、 被告(組合員車)が進路を左に変更した事実が認められないことに照らせば、 原告が本件交差点に進入する前後のタイミングでその進路を右に変更しない限り上記地点での衝突は起こり得ない。
さらに、本件道路4(交差点北側の第1車線)には本件交差点北側横断歩道上に至るまでの信号待ちの車列ができてい たことも併せてみれば、 原告が自身の進路上にいるこれらの車列を避けるために右に進路を変更する動機が 十分に窺われる」とし、 「本件事故 はもっぱら原告が右方安全確認不十 分のまま進路変更をした過失によるものといわざるを得ない」と判断し、 当方組合員車の過失を否認しました。