事故処理ノート

事故事例や判例につき、組合員の皆さまのご参考になる特徴的なケースをご紹介しております。

組合員構内に入った人を轢死させた事例

事故の概要

本件事故は、冬の早朝、無断で組合員構内に入った相手方が組合員車の前方にいたところ、気付かずに発進したため轢死さたものです。相手方は事故以前から度々、組合員車のアイドリング騒音について組合員構内に苦情を言いに来ていました。


本件解決の問題点

本件では、早朝無断で車庫に侵入しトラックの前にいた相手方の過失割合が争点となりました。相手方は、日頃からアイドリングの騒音に悩まされ、注意するために営業所内に侵入したもので、騒音対策を講じなかった責任がある、また事故の要因運転手の前方不注意であると主張しました。一方、当方は、まだ暗い時間帯に無断で、アイドリング中のいつでも発進できる状態のトラックの前にいた過失を主張しました。

事故処理ノート画像
示談交渉の経緯

当方は、顧問弁護士に相談の上、相手方の過失割合について20%程度で交渉するも、相手方は無過失を主張し交渉は難航し、訴訟となりました。
判決の結果は、相手方には、暗い中でいつ動き出してもおかしくないトラックの前方に立っていたこと、構内に存在することが当然に予定されているものではないことから過失があると判断されました。一方、組合員側に対して、まだ周囲が暗かったとはいえヘッドライトを点けアンダーミラーで前方左右を確認していれば、相手方を発見する事は十分可能であったこと、相手方の過去の行動より構内に立ち入ることが予測可能であったと思われること、そして相手方が歩行者であったことも勘案し、組合員85%、相手方15%の過失割合となりました。

まとめ

今回のケースは、たとえ自社の敷地内に無断で侵入してきた相手であっても、トラック側に大きな過失割合が問われたものです。
『車に乗る前には、前後に人がいないか、車の下に子どもがいないか』など、基本に戻って安全確認する必要があるのではないでしょうか。