事故処理ノート

事故事例や判例につき、組合員の皆さまのご参考になる特徴的なケースをご紹介しております。

高速道路を走行中に外れたタイヤが他車に衝突した事故で、整備工場の責任が問えるかが争点になった事例

事故の概要

本件事故は、組合員車が高速道路を走行中、突然外れた左後輪タイヤが後続のトラックおよび、対向車線走行の2 台に衝突したものです。


本件の問題点

組合員車両のアクセルシャフトが折れてタイヤが脱輪したことについて、車検後わずか3 か月で事故が発生したことから、整備工場の責任が問えるかが争点になりました。

事故処理ノート画像
交渉の経緯

組合員としては、整備工場の責任を問うために鑑定人を雇い、鑑定の結果、アフターベアリングの締め過ぎによる焼け付きが原因であることを突き止めることができました。この部分の点検はドライバーの始業点検に求められていない項目であり、整備工場の整備不良が事故の原因であると判断して提訴しました。
一方、整備工場側は、自動車メーカーの調査でもアクセルシャフト折損の原因は不明であるとされたものであり、整備不良とは特定できない、むしろ異常金属音を聞きながらも3キロもの間走行した組合員運転者の無謀運転が原因であって、整備工場に賠償責任はないと主張しました。

交渉の結果

組合員車両修理費及び後続車3台の賠償金額の過失割合について、裁判所から組合員50%相手方50%の和解勧告が出されたものの、組合員が納得せずその後の交渉の結果、整備工場側が組合員の和解案を受け入れ、組合員30%整備工場70%の割合にて支払いすることで示談しました。

まとめ

整備不良については、本来ならほとんどが当事者間の話し合いで解決されるため表面化しにくいものであり、表面化した場合でも、整備不良を組合員側が立証しなければならず立証には困難を極めるケースがほとんどです。しかし、今回の事故は、整備工場が整備不良を最終的に認め解決することができた稀な事案でした。