事故処理ノート

事故事例や判例につき、組合員の皆さまのご参考になる特徴的なケースをご紹介しております。

異時共同不法行為による損害の認定

事故の概要

本件事故は、自動車専用道路のパーキングにおいて、組合員車が仮眠を取るため駐車していた相手方乗用車に衝突し、その結果、相手方運転者が頚部捻挫・腰部捻挫の負傷をしたものです。

示談の経緯

相手方はDVDの製作販売を行う自営業者で、本件事故に遭う2年前にも交通事故に遭遇し、約8ケ月間の治療の末、腰部に14級の後遺障害を残していました。そして、本件事故においても、約8ケ月間治療し、頚部に14級の後遺障害が残りました。示談交渉を進める中、相手方の賠償金請求額と当方の提示額に相当の隔たりがあったため、相手方は示談交渉を弁護士に依頼し、弁護士は交通事故紛争処理センターに示談の斡旋を申立てました。

争点と裁決結果

相手方との争点は1.休業損害、2.後遺障害の逸失利益が主なものでした。
1.休業損害について
相手方は、DVDの持ち込み販売およびインターネットによる販売収入を休業損害として請求してきました。当方は、確定申告していない分もあり、収入全額を認められないこと、前回の事故で後遺障害が認定されていることにより労働能力の喪失が生じている為、今回の休業に関し前回事故の障害が寄与していることを主張しました。
2.後遺障害の遺失利益について
前回の事故によって生じた後遺障害の部位は異なっても、労働能力の喪失期間が重複する期間があることから、前回事故の寄与度を認めるべきであると主張しました。

折衝の結果出された交通事故紛争処理センターの裁定では、休業損害については、休業認定日数が治療期間の2分の1となり、前回事故の寄与度を10%として、本件事故分として90%の認定となりました。後遺障害については若干の喪失期間の修正にとどまりましたが、当初の斡旋額778万円余に対して、当方の主張が大幅に認められ、349万円余の裁定額となり、相手方及び当方もその裁定を受け入れました。

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