事故処理ノート
事故事例や判例につき、組合員の皆さまの
ご参考になる特徴的なケースをご紹介しております。
積荷の落下による道路の汚損 賠償額1130万円
- 事故の概要
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荷台に積載していたセメント系改良材が落下し、トンネル内の道路上に飛散しました。その結果、道路が汚損され、トンネル内の設備に粉塵が付着するなどして、機能の低下などの影響がありました。
本件では、セメント系改良材が飛散したため、トンネル内の設備(換気所の電気集塵機、排水槽、火災検知器、ジェットファンなど)や道路面において点検や清掃等が必要となりました。
なかでも特に高額となったのは換気所の電気集塵機です。
長距離に及ぶトンネル内には、換気所が設置されており、電気集塵機を用いてトンネル内の空気に含まれる有害物質のうち、煤煙を静電気のカで除去し、外部へ排出する仕組みとなっています。これによりトンネル内の煤煙や一酸化炭素濃度を低減することで空気を浄化し、トンネル周辺地域の環境対策やトンネル内の良好な視界の確保を図っています。
しかし本件事故により飛散したセメント系改良材の粉塵が電気集塵機に付着し、通常の集塵機能が損なわれました。そのため、電気集塵機の機能確認およびユニット内の清掃を行う必要が生じ、これにかかった費用だけでも消費税を含め約880万円となりました。
また、セメント系改良材は、セメントに各種の有効成分を付加したものであり、主な構成材であるセメントは水と反応して硬化する性質があります。したがって、排水槽に水とともに流れ込んだ場合、流入部や槽内など各部で固化し、つまりを引き起こすことが懸念され、また、水を外部へと排出するためのポンプ設備にも異常をきたす可能性があると考えられました。そのため排水槽への流入部や槽内を点検したうえで清掃を行い、ポンプの正常運転を確認する必要がありました。
他の設備とあわせた総額は、右記のとおりです。
